波乱の人生
2005年に日本からデンマークに帰国した。今まで7年間住んでいた日本を後にした。特に自分から帰国しようと思った訳ではなかった。帰国の飛行機の中では人生をゆっくりと振り返る事が出来た。不思議と今までの人生を物語るかのように台風の合間を飛行機は飛んで行った。乗るはずだった便には台風の影響で乗れずギリギリで別の便に乗り松山から関空に向かった。途中でパイロットのアナウンスが流れた。台風の影響のため激しい揺れがあるかも知れないと。しかしこれは全く問題ないのでご安心くださいと。最近よくテレビでの飛行機の事故シリーズを見てきた僕はそのアナウンスは一切信じなかった。飛行機はたまに落ちるものだ。しかし今回は落ちても何も損はしない。というかこの先の苦労を考えると落ちてくれた方が良いかも。この先の苦労が避けられれば如何に幸せなことか。少なくとも落ちて死ねば飛行機会社からの賠償金がもらえるだろう。それで元妻への借金も返せるからすべてが丸く収まるかも知れない。
40歳に近く、しかも元外交官、日本の中小企業の取締役、自営業を経験しているにも拘らず持ち物はスーツケース1つとパソコン1台、今着ているスーツと船便で送った今後のために取っておかなければいけない書類だけだ。デンマークの家具は持っていたものの元妻はいらないというし、船でデンマークまで送り返すお金が無い。家族も失った。住むところも無い。何の保険も掛かっていないし年金なども全く積み立てていない。銀行の貯金は無いどころか借金がある。今後の見通しはというと全く分らない。今までの経験だけでこれからの生活の基盤が作り上げられるのだろうか。飛行機が落ちてくれればこんな心配はしなくて済む。
Kim Christian Botho Pedersen
筆者の私はデンマーク人。1966年生まれの日本育ち。1973年に両親と一緒に初めての来日。両親は宣教師として来日。日本では日本人と同様一般の小学校と中学校に通い日本語を覚えた。そして教会の影響が大きく何時の間にかキリスト教原理主義者になっていたが25歳の時にあるきっかけでキリスト教を完全に捨てる事になった。1981年、デンマークに帰国した後、商業高等学校を1986年に卒業。小さなスーパーの店長、教会のボランティアやタクシードライバーといった全く異なる業種を経て、1994年(27歳の時)に大学に入学。その大学を中退し輸出専門学校に入学し1998年には輸出専門学校を卒業。同年、在日デンマーク大使館に外交官身分で就職。大使館勤めは4年。大使館退官後、日本の中小企業の取締役部長を経験し、その後、日本で自営業を立ち上げデンマークの展示什器の売り込みを経験。たった1年半の結婚生活後、離婚が原因ですべて失い2005年にはデンマークに帰国。当時所有物はスーツケースとパソコンを入れたカバンのみ。仕事も住むところも無く、失業保険も無く全くのゼロからのスタート。その後も人生は著しく経験だけは豊富なものの未だに落ち着きの無い生活を送っている。 |
||
「波乱の人生 前半」はPDFファイルとして販売中 販売価格は630円
1.
GUMROADによるお支払いの場合(お勧め):
(クレジットカード OK です) PDFファイルのサイズは約1.5MB 前半のページ数は 123 ページ(135ページ) |