大麻の話
日本人からは良く大麻の話をして欲しいと言われます。デンマークは合法なのか、クリスチャニアで買えるのか、吸ったことあるのかなど。
大麻に関して合法化に賛成であろうとう反対であろうと合法化する事により中毒者が減り、犯罪が減る事は様々な調査結果で分かっています。理由がなんであろうと政治家が合法化に無理矢理反対する事で社会は様々な面で大きく悪影響を受けてしまうのです。
デンマークにはクリスチャニア(Christiania)という独自の自治会を持った地域があります。この地域では大麻の売買が2009年頃まで許可されていました。この地域での売買が許可されていた事により大麻の販売はこの地区に限られていました。しかしデンマークの政治家はこのような地域があるという事が問題であるとして2009年の春、国会で討論が行われました。クリスチャニアでの大麻の販売を引き続き許可するべきか、それともクリスチャニアを閉鎖し大麻の売買が出来ないようにすべきかという事が焦点でした。
参考までにデンマークでは10人に一人が何時か大麻を吸った事があるという統計が出ています。
さて、国会での討論に戻りますが、政府(と政府をサポートしていた党)はクリスチャニアを閉鎖し大麻の販売の処罰を重くすべきという見解で、逆に野党は大麻を合法化すべきという見解でした。
不思議な事に与党も野党も合法化する事により大麻を吸う人、中毒者は減るという意見で一致しており、大麻の合法化を避け、大麻の販売に対する刑罰を重くする事で中毒者は増えるという意見は一致していました。自分の耳を疑いました。個人的には中毒者が減ると分かっている政策を選ぶのが当然だと思っていたのが、政府は中毒者が増えると分かっている政策を選んだのです。
大麻の中毒者が増える/減るカラクリは下記のように説明されました(与党も野党も同じ説明):
大麻販売の処罰を重くした場合:
1.大麻の販売に関する処罰を重くするとその分販売する危険性/リスクが増し、大麻の販売価格は上がる。
2.大麻の販売価格が上がると利益が増えるためビジネスとして面白くなる。ビジネスとして面白くなると一般の商売と同じ市場メカニズムが働き、販売者はビジネスの拡大を狙う。
3.ビジネスの拡大を狙う人は大麻を吸った事が無い人を探し、大麻を勧める。その為大学生、高校生、中学生へと対象年齢をドンドン下げながら市場拡大を狙っていく。学生は禁止されている物ほど興味を持つものは無く、意外と吸い始める人が多い。吸い始めるのが若ければ若いほどより長期的なビジネスが見込める為販売側は年齢を気にせず勧めて行く。
4.大麻の販売価格が上がると中毒者は大麻を購入する為のお金が不足し、強盗や泥棒などの犯罪が増える。
逆に大麻を合法化した場合:
1.大麻はどこでも手に入る為、価格は下がる。
2.価格が下がるとビジネスとして面白く無くなり、暴力団などの大麻を販売して儲けている組織は大麻以外のビジネスを探す。まさか汗を流しながら大麻の販売をして少ない利益を得る事はやらない。
3.大麻が安くなった事で大麻を吸う為の収入は高くなくでも可能で大麻を吸うためのお金儲けによる中毒者の犯罪が減る。
もうひとつ与党も野党も意見が一致していたのは大麻は中毒性があり、健康には良くないという事。大麻の合法化に反対している多くの人は倫理的な面から反対しているのです。つまり、タバコやお酒、大麻、麻薬など中毒性のあるもの自体に反対しているのです。
中毒者数を減らすには合法化が一番いいのです。大麻中毒者を増やすには違法にしたり大麻販売に対する処罰を増やすというのが最も有効的です。これは専門家の誰もの意見が一致している事です。様々な調査や実験(デンマークやオランダに限らず)でも結果として出ているのです。
デンマークは2009年にクリスチャニアを閉鎖する事を選択した訳ですが、それをきっかけに暴力団の市場争いがコペンハーゲン中に広がりました。それまではクリスチャニアに限られていた市場争いが町中、国中に広がり、外国人ギャングとデンマークの暴力団がぶつかり合い、街中での拳銃での撃ち合いにまで成って行き、一般市民を巻き込みました。
個人的には大麻は吸った事が無く、吸いたいとも思いません。タバコも吸った事が無く吸いたいと思いません。しかし、自分の子供が通う学校の校門前で暴力団が子供に大麻を勧めるような社会づくりは無責任だと思います。また、大麻の価格が跳ね上がる事で強盗や犯罪が増えるような社会づくりをする政治家は無責任だと思います。
社会的責任を真面目に考えるのであれば中毒者が減る政策を考えるべきだと思います。その最も効率よい方法は大麻を薬局などで販売し、購入者を登録する事でしょう。吸いたい人は吸い、吸いたくない人は吸わないお互い共存できる社会。また、薬局が管理する事で中毒者は把握出来、国や町からの治療の相談もできるようになります。
キム・ペーダセン
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